こんにちは。看護師歴28年、 骨盤底筋トレーニング【YUI】の 北條裕紀恵です
内臓を下から支え、排泄のコントロールもしている骨盤底筋は、体の一番底にある筋肉です。
膣から出産した女性は、出産時にこの骨盤底筋に負担がかかり、産後に尿漏れや膣から臓器が出てくる骨盤臓器脱(子宮脱)のリスクが高まります。
出産したあなたは、産後に尿漏れや子宮脱がないから自分には関係ないと思っているかもしれません。
しかし、産後に尿漏れや子宮脱にならないから今後も大丈夫という保証はどこにありません。
そして、くしゃみやジャンプなどでもれる腹圧性の尿漏れは、膣からの出産回数が増えればそのリスクも高まると言われています。
だから、産後の辛かった時期が落ち着き、今は尿漏れしていないからと何もしないでいるのはオススメできません。
なぜなら、女性は今後以下のようなイベントが待っているからです
- 今後もう一人産むかもしれない
- 子どもと一緒に飛び回って遊ぶ
- 女性ホルモンの変化
これらは、骨盤底筋の筋力を低下させ尿漏れ起こさせるリスクになるのです。
骨盤底筋トレーニングが産後の女性に大切な理由
では、どうして産後の女性は骨盤底筋トレーニングが大切なのをご説明します。
今後、もう一人生むかもしれない
出産可能な年齢であれば、今後の妊娠・出産の可能性はゼロではありませんね。
膣からの出産回数とくしゃみやジャンプの腹圧性の尿漏れは関係があると言われています。
下記は、産後1ヶ月健診に来た女性、560名の方を対象にした研究です。
尿失禁の有無と属性や生活・分娩に関する状況についてχ2検定を行った結果,尿失禁の有無は,初産婦と経産婦との 2 群間において有意差がみられた(p<0.01)
参考文献:田尻ら(2010)「妊産褥婦の尿失禁に関する実態と関連要因について─妊娠期から産後1ヶ月までの調査より─」 理学療法科学 25(4):551–555
これは,先行研究12) において分娩回数と尿失禁との関係が指摘されているように,分娩を重ねることにより尿失禁が起き易いといえる.
このような、膣からの出産回数と尿漏れは関係があるという報告は沢山あり、膣からの出産回数が増えれば尿漏れのリスクが高まると言われています。
そして、膣からの出産で、吸引分娩や鉗子分娩なども腹圧性の尿漏れのリスクを高める原因となります。
子どもと一緒に飛び回って遊ぶ
これはリスクというより、このような状況はお子さんをお持ちの女性なら避けられないということです。
子どもが活発に動くようになるとお母さんと一緒に遊びたい!と思うのは当たり前です。
そして、子どもにせがまれて下記の様なことを一緒にする機会は多くなります。
- 縄跳び
- トランポリン
- 鬼ごっこ
このように子どもと一緒に遊んでいる時や、子ども急に飛び出し”危ないっ!”と咄嗟に動く時、急激にお腹に圧がかかり尿が漏れそうになったということはよくあるお話です。
縄跳びやトランポリンでどうして尿漏れが起こるのか詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ
縄跳びしたら尿漏れした!縄跳びでの尿漏れは女性に多いエピソード
トランポリンエクササイズ 女性のみなさん尿漏れは大丈夫ですか?
お子さんが小さいと動き回らないので気がつかず、一緒に遊ぼうとしてやっと尿漏れに気づきます。
また、2人目の子を出産し抱っこしながら上の子と遊んでいたら尿漏れしたということも聞きます。
抱っこをしていれば、その分お腹に力も入りやすくなりますから尿漏れのリスクは高まります。
女性ホルモンの変化
女性は、ある年齢になると閉経を迎えます。閉経すると女性ホルモンが低下し、体にさまざまな影響を及ぼします。
その影響の1つに尿漏れがあります。
これは女性ホルモンが低下し筋肉が衰え骨盤底筋がたわんでしまうためと言われています。
また、尿道の粘膜が薄くなり尿漏れしやすくなると言われています。
そして、尿漏れは年齢がいくほどリスクは高まると言われています。
全国52病院で 働く女性看護師、3734名 を対象にした調査で、20ー64歳で、624名 全体の16.7%に尿失禁を認め、その中で腹圧性の尿漏れは73%でした。以下研究の結論
【結論】尿失禁有病率は加齢とともに増加し、45− 49歳で ピークとなっ た、身体的健康度に対する尿失禁の影響は20歳台で高く、加齢とともに精神的健康度に強く影響して くると考えられた。
参考文献:別府ら(2005)「健康 な女性 に お ける尿 失禁 と generic QUALITY OF LIFE (QOL )の 関係」日本泌尿器科学会雑誌96 巻 2 号 p. 224-
それでも自分には関係ないと思いますか?
女性であれば尿漏れになる可能性は高く、膣からの出産を経験していればその可能性はより高くなります。
くしゃみやジャンプの尿漏れには骨盤底筋トレーニングが有効ですが、産後に骨盤底筋トレーニングを積極的に行っている女性は多くありません。
それは、出産した女性の中に、”出産したから仕方ない”、”尿漏れは病気じゃないし”などの考えがあるからではないでしょうか。
尿漏れは、確かに命に関わるものではありません。
しかし、スポーツができない、パッドが手放せないなどで生活の質が落ちるのは間違いありません。
これは、乳幼児健診に来た母親327名を対象に行った研究です。
尿失禁があると答えた者のうち,相談した者が27.5%,相談しない者が72.5%であった。今回調査の相談しない理由では,「そのうち治ると思う」が54.6%であり,「人に知られたくない」も12.4%であった。
参考文献:河 内 美 江(2009)「出産後3年以内の女性の尿失禁と出産との関連性-尿失禁予防と改善に向けた助産師の役割- 」日本看護研究学会雑誌 Vol. 32 No. 1
実際に相談した70人の中での相談相手は,女性の友人51.4%,母50.0%,夫37.1%,姉妹20.0%,助産師11.4%という順に多かった。
女性であれば尿漏れのリスクが高まり、膣からの出産をしていればなお高まるんです。
そして、正しい骨盤底筋トレーニングをしていればそのくしゃみやジャンプの尿漏れが予防できるのです。
骨盤底筋トレーニングは、体に負担が無く副作用もないことから女性の尿失禁において推奨されています。
骨盤底筋トレーニングを女性が積極的にした方が良い理由を詳しく知りたい方はこちらの記事もどうぞ
骨盤底筋トレーニングを女性だったらやった方が良い4つの理由
膣からの出産をしたなら骨盤底筋トレーニングをしよう
産後に尿漏れが無いからといって安心してはいけません。
女性なら出産していなくても下記の様なイベントでリスクが高まります。
- 尿道が短い
- 女性ホルモンの変化
- ひどい便秘
- 太った
そして、膣から出産をし会陰切開・裂傷、鉗子・吸引分娩が加わればさらに尿漏れのリスクは高まるのです。
そんな尿漏れのリスクを、日々の簡単な骨盤底筋トレーニングで回避できるならやるしかないと思いませんか。
骨盤底筋トレーニングを一度マスターしてしまえば、一人でいつでもどこでもできます。
産後の今、尿漏れしていなからと人ごとで終わらせず骨盤底筋トレーニングをしっかりとしていきましょう。
尿漏れになってからより、なる前から鍛えておくことが大切ですよ。
まとめ
産後に尿漏れを経験していないからといって安心はできません。
産後に尿漏れを経験していなくても下記の理由から今後尿漏れが起こる可能性があるのです。
- 今後もう一人産むかもしれない
- 子どもと一緒に飛び回って遊ぶ
- 女性ホルモンの変化
そして、骨盤底筋トレーニングは女性の尿漏れに有効であるということは様々な研究で証明されていることであり、治療のガイドラインでも推奨されいます。
骨盤底筋トレーニングは、体の負担が無く副作用もないもので、自分でいつでもどこでも手軽にできるトレーニングです。
1回マスターしてしまえば一生できるトレーニング。
これを機に、正しい骨盤底筋トレーニングをマスターしてみませんか。
女性なら、是非、正しい骨盤底筋トレーニングをマスターしてください。
お申し込み
完全予約制
営業時間:9:00 ~ 21:00 土日祝日も可
場所:神楽坂駅1a出口徒歩2分、牛込神楽坂A3出口徒歩3分、東京メトロ飯田橋駅B3出口徒歩7分
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