女性の骨盤底筋が弱くなって起きる骨盤臓器脱 自分でできる対処法

こんにちは。 骨盤底筋パーソナルトレーナー北條ゆきえです。
骨盤底筋が弱くなって起こる骨盤臓器脱は、少しだけ下がっている状態ならそのまま様子をみることが多くあります。
様子を見ていても、夕方になれば下がっている感じがして不快に感じることがあるでしょう。
そこで、今日は、自分でできる簡単な対処法3つご紹介します。
- 膀胱瘤で尿が出づらい しばらく寝ているか、膀胱を中に戻してから体を寝かせる
- 子宮脱で違和感がある 膣の中に押し戻す、寝る時は必ず膣の中に戻す
- 直腸瘤で便が出ない時 手でゆっくりと肛門の方へ圧迫して便を押し出してあげる
膀胱瘤
先ずは、膀胱が膣に向かって下がってくる膀胱瘤について説明します。
下の図を見てください。膀胱が下がってくると、尿の通り道(尿道)にたるみが生じます。
このような状態になると女性の場合、尿漏れが起きやすくなります。
そして、さらに膀胱が下がると、尿道は、膀胱に引っ張られ曲った状態となります。
また膀胱の位置は、尿の出口より下となります。
この状態になると、1回の排尿ではスッキリと尿を出し切れずに膀胱に溜まってしまいます。
そのため、排尿後もスッキリしない状態となり、残尿感を感じます。
さらに、残尿感があるとスッキリしないためトイレがとても近くなりなってしまいます。
膀胱瘤の場合は、膣が膨らむ違和感や下がった感じなどの不快を比較的感じにくく、
残尿感やトイレが近いという排尿の不具合の方が気になる方が多くいらっしゃいます。
排尿の不具合の場合、患者さまは近所の内科を受診する場合が多くあります。
そうすると、内科では内診(専用の台に乗り直接見ること)はしませんので、
膀胱炎や過活動膀胱と診断され、必要のない薬を内服して症状が改善されないという事例は少なくありません。
そして、さらにさらに膀胱が下がるとトイレに行きたくても尿が出ない状態となります。
尿は腎臓で作られて膀胱に溜まります。左右の腎臓と膀胱は尿管という細い管で繋がれています。
膀胱が下がると、この左右の尿管は引っ張られた状態となります。
尿が出ないこと、左右の尿管が引っ張られていることから腎臓には大きな負担がかかってしまいます。
腎臓は全身状態に関わる重要な臓器ですので、腎臓に負担がかかると全身状態が悪くなり緊急の処置を要する場合があります。
じゃあ、尿が出なくなったら要注意なのね!
Aさん
そういうこと!
ゆきえ
膀胱瘤で尿が出づらくなった場合の対処法
膀胱が下がっていると、昼間はトイレが近くて残尿感がありスッキリしません。
でも、翌朝起きた1回目のトイレは、とても気持ち良くスッキリと排尿できるということが起こります。
昼間でないのに翌朝でるのはどうして?
Aさん
なぜかというと、活動している昼間は、膀胱は重力で下がるため尿が出づらくなります。
しかし、寝て体が平らな状態になると膀胱は元の位置に戻りるため朝だけ尿が出やすくなるのです。
もし、夕方になって尿が出ずらい、残尿感があって不快が強いという場合、しばらく寝て体を平らにする状態を作ってあげましょう。
その後、膀胱が膣の中に戻し(戻らない場合は手で中に押し込みましょう)しばらく寝てからトイレに行くと尿の出やすくなります。
膀胱瘤の場合、尿が出ている状態なら問題ありませんが、
尿が出ない、また飲んだ量と比べると尿量が極端に少ないという場合は、早めに泌尿器科を受診することをお勧めします。
実際、膀胱瘤がかなり進行した人が、全身状態のチェックのため採血をしてみると、
カリウムとい全身に影響を与える電解質が上昇し危険な状態となっているということがあります。
必要以上に怖がる必要はありませんが、たかが膀胱瘤、されど膀胱瘤なのです。
子宮脱
硬い子宮は、下がってくると違和感が強く、ピンポン玉が挟まった様な感じがします。
そのため、子宮が下がってくると比較的早い段階から自覚症状があります。
子宮脱の場合は、膀胱瘤のような全身に関わるような症状が起きることは殆どありません。
また、子宮筋腫などで子宮を取ってしまっている場合は、膣の一番奥の部分が下がってくることもあります。
子宮脱で違和感が強い時の対処法
子宮が膣から落ちてきて違和感が強い場合、初期の状態であれば寝て体を平らにすれば膣の中に戻るでしょう。
しかし、膣から明がに出ている場合、膀胱のように寝るだけでは膣の中に納まってくれません。
その時は、ゆっくりと手で膣の中に押し込んであげましょう。
手で押し込むなんて私できるかしら!
Aさん
大丈夫できますよ、押してあげれば自然と中に入りますから
ゆきえ
手で膣の中に押した時、抵抗のない方向にゆっくりと押してあげれば自然と膣の中に子宮は入ってくれます。
子宮が膣から出たままだと子宮の粘膜が乾燥してタダレ易くなってしまいます。
炎症がつよくなるとオリモノも多くなりますので、夜寝る時だけでもいいですから膣の奥に戻してあげましょう。
そうすると、子宮の粘膜は乾燥せずに良い状態が保たれます。
直腸瘤
直腸瘤は、初期の段階では殆ど自覚症状を感じることはないでしょう。
しかし、直腸が肛門より下に落ち込めば落ち込むほど便を外に出しづらくなってしまいます。
この場合、便が出しづらくなって便秘になり、硬い便だと膣が圧迫されるので違和感も強くなります。
直腸瘤で便が出ない時の対処法
直腸が膣の方へ落ち込み力んでも便が出ない場合、膣の方に膨らんでいる所を手で肛門側に圧迫すことで便を出すことができます。
押す場合は、急激に押すと肛門に負担がかかりますので、ゆっくりと様子を見ながら押してあげましょう。
また、硬い便は手で押しても出しづらくなります。そのため、便が硬くならないように注意しましょう。
硬くなりがちな方は、便を柔らかくするお薬を飲んで便のコントロールをしましょう。
まとめ
膀胱瘤、子宮脱、直腸瘤の3つの骨盤臓器脱の症状は、もともとの臓器の働きに不具合が生じますが、
膀胱瘤の尿が出なくなる状態以外は、緊急で生死にかかわる病気ではありません。
そのため、骨盤臓器脱になった場合、治療の進め方は、その個人の生活スタイルに合わせてそれぞれに変わってきます。
骨盤臓器脱は、生死に関わる病気ではありませんが、確実に生活の質を低下させます。
骨盤臓器脱になると、ジムを止めたりとかウォーキングを止めたりとか多くの方が活動を制限されます。
活動を制限すると当然太ります。太るということは、骨盤臓器脱にとって大きなリスクとなります。
そのため、骨盤臓器脱→活動制限→太る→骨盤臓器脱憎悪と負のスパイラルに陥ることが意外と多いのです。
骨盤臓器脱はインパクトの強い病気のため、痛そうに見えますが殆どの人は痛みがありません。
ただ、膣から出ている部分が擦れて出血する場合は、少しヒリヒリするかもしれません。
今回ご紹介した対象方は、以下の3つです。
- 膀胱瘤で尿が出づらい しばらく寝ているか、膀胱を中に戻してから体を寝かせる
- 子宮脱で違和感がある 膣の中に押し戻す、寝る時は必ず膣の中に戻す
- 直腸瘤で便が出ない時 手でゆっくりと肛門の方へ圧迫して便を押し出してあげる
どの骨盤臓器脱でも共通することは、膣から常に出ている状態が続くと粘膜が乾燥して炎症の原因になりますので、
寝る時は膣の中に納めてあげましょう。