リングペッサリーの種類は沢山あります!自分に合ったものを選ぼう!

こんにちは。 骨盤底筋パーソナルトレーナー北條ゆきえです。
インナーユニットの1つである骨盤底筋は、胴体の一番底にあり内臓を支えている筋肉です。
この骨盤底筋が弱くなると、膣めがけて膀胱や子宮、直腸などの臓器が落ちてきます。
このような、膣から膀胱などの臓器が落ちてきてしまう病気を骨盤臓器脱と言い、女性特有の病気です。
女性の骨盤底筋が弱くなると起こる病気、それは骨盤臓器脱(子宮脱)
骨盤臓器脱の治療には、手術をせずに膣の中に器具を入れて臓器を支えてあげる方法と手術をする方法があります。
膣の違和感はあるけど、手術するほど困っていないという時、多くの人は膣の中に器具を入れて様子を見ることになります。
膣の中に入れる器具は、総称してリングペッサリー、またはリングと言われています。
リングペッサリーを膣の中に入れると、臓器が落ちないようにストッパー的な役割をしてくれます。
リングペッサリーには、いろいろな形があり、それをフィッティングして試しながら自分に合ったものを選ぶことができます。
リングペッサリーの種類は以下の物があります
- 黒い硬いリングペッサリー(昔のタイプ)
- 白い柔らかいリングペッサリー(保険適応)
- Milexリングペッサリー(形のバラエティーが豊富で自費購入)
- キタザトリング
- イントロール
ここでは、リングペッサリーがどういうものなのか、そして、それぞれの種類をご紹介します。
もくじ
リングペッサリーを膣の中に入れると
リングペッサリーを膣の中に入れると、下の図のようになっています。(白い輪がリングペッサリー)
こんなに奥に入れて大丈夫なの?
悩める女性B
膣の奥は意外と広いから大丈夫なんですよ
ゆきえ
リングペッサリーを膣の中に入れると、リングペッサリーは奥で自然と広がりちょうどいい所で安定してくれます。
この時に、中途半端に入れてしまうとかえって膣の違和感が出てしまいます。
リングペッサリーが膣の奥にあることで、ストッパー的な役割をして落ちてくる臓器を支えてくれます。
リングペッサリーを選ぶときは、フィッティングを行って自分に合ったサイズや形を選んでいきます。
初めて選ぶ時は、フィッテイングを入念に行い自分に合った形とサイズを選ぶことが大切です。
リングペッサリーが合わない場合は、フィッティングの段階で膣から出てきてしまったり、違和感が強かったりします。
リングペッサリーの種類
リングペッサリーは、骨盤臓器脱の治療で昔から使われていたものです。
以前は、リングペッサリーの種類は多くありませんでした。
しかし、最近では骨盤臓器脱という病気が一般的に知られるようになったためか、その需要は以前より高まり種類も増えてきました。
手術をせずにリングペッサリーを選ぶ方は、何らかの理由で手術ができない方々です。
何らかの理由とは
- 元々大きな病気があり手術ができない
- 手術するほどではないが日常生活に支障がある
- 介護中の家族がいて手術ができない
- 仕事の都合で手術ができない
- そもそも手術はしたくないなど
これらの理由がある方は、手術をせずにリングペッサリーで対応していくということが多いです。
黒くて硬いリングペッサリー
黒くて硬いリングペッサリーは、とても古いタイプのものになります。
現在では、ほとんどの病院が違うタイプの物を使っていますが、まれにまだ使っている病院があります。
硬いリングペッサリーは、力を加えても形が変わらないため出し入れするのがとても危険です。
そして、硬いために膣の粘膜を傷つけやすくなっています。
リングペッサリーの管理は、自己管理で毎日出し入れをするのが基本ですが、このタイプのリングペッサリーでは自己管理は難しいでしょう。
個人的な印象
先ほどの言ったように、このリングペッサリーは硬いため、出し入れする時に膣の粘膜を傷つけやすくなってしまいます。
リングペッサリーは、自分で管理をして毎日出し入れをするのが基本ですが、このタイプでの毎日の出し入れは危険だと思われます。
そのため、このタイプを使用している場合、長期間入れたままにしているためオリモノが多いような印象です。
ウォーレスリングペッサリー
こちらのリングペッサリーをウォーレスリングペッサリーと言います。
このリングペッサリーは、一般的なもので保険適応となります。
現在リングペッサリーを扱っている病院のほとんどがこのリングペッサリーを採用しています。
料金は、3,000円前後となり、3割負担で約1,000円くらいです。
個人的な印象
このタイプのリングペッサリーは、とても柔らかくてサイズも豊富です。
写真のように手で力を入れるだけで柔らかく曲がるため、ストレスなく自分で出し入れすることができます。
素材が柔らかいため、膣の粘膜にも優しく、少しの期間なら入れたままにしていても大丈夫です。
Milexペッサリー
こちらのリングペッサリーは、それぞれに異なる形のものが6種類あります。
素材は、医療用シリコーンで作られておりとても柔らく膣粘膜への負担も少なくなります。
基本的には、先ほど紹介したウォーレスリングが合わない場合、このMilexタイプを試す方が多いようです。
しかし、こちらのMilexペッサリーは保険適応になっていないため、自費購入となります。
価格帯は、4,000円~9,000円で、1度購入すれば約半年間は使用できます。
ここで紹介する写真は、フィッティング用のリングペッサリーのため黄色ですが、実物の色は肌色になります。
ウォーレスリングに似たタイプ
このタイプは、形はウォーレスリングペッサリーとほぼ一緒ですが、異なるところは半分に折れることです。
このタイプを選ぶ方は、膣の入り口が狭く、リングペッサリーが入れにくい方に適しています。
膣に入れる時に、このリングペッサリーを半分に折り畳み小さくすれば、膣の中に入れやすくなります。
膣の中に入れてしまえば、後は膣の中で自然に広がりフィットしてくれます。
ノブ付きタイプ
このタイプのリングは、丸印の部分がボコっとノブのようなものが付いています。
この部分を尿道の下側に当たるように入れてあげると、尿道が支えられるのが特徴です。
くしゃみなどで尿漏れがある人は、尿道を支えてあげることで尿漏れを防止することができます。
個人的な印象
ボコっとしているノブの部分がきちんと尿道を支えられれば尿漏れに効果があるでしょう。
しかし、自分で出し入れをしている方は、なかなかうまく位置を考えて入れられないことが多いようです。
そのため、膣の中に入れるとノブの部分がズレてしまい、あまり効果を感じられない方がいます。
それでも、このタイプで尿漏れがよくなっている方もいらっしゃいますので試す価値はあるでしょう。
③穴無しタイプ(サポートリング)
ウォーレスリングペッサリーのような輪っかタイプのリングペッサリーを使った時、子宮が輪の中にスッポリとはまってしまう方がいらっしゃいます。
はまってしまうと、子宮からリングペッサリーが外れずに取りにくくなってしまいます。
このタイプは、輪っかになっていませんので、子宮が落ちきても輪っかにはまことがなく安心して使えます。
個人的な印象
ほとんどウォーレスリングと変わりなく、扱い方は簡単な印象です。
自分での出し入れも、中央の小さい穴に糸を通して付けておけば、取り出す時も簡単に取り出せます。
ドーナツタイプ
このタイプは、先ほどの輪っかになっていないタイプの物と同じような使い方になります。
中央に大きな穴がないため、子宮などが穴にはまりにくく、またリングに厚みがあるためしっかりと支えられます。
個人的な印象
輪っかに厚みがあるため、出し入れがやや難しくなります。
その場合は、下の図のようにして入れる時は輪っかを正面ではなく横にして幅を細くしてあげます。
また、取り出す時は、指に引っかかりにくいため糸をつておけば糸を引いて取り出しやすくなります。
大きい感じがしますが、入れていても違和感はないようです。
ゲルホーン
このタイプのリングはゲルホーンと言われています。この棒状の部分が短いタイプもあります。
このタイプは、欧米では多く使われているようです。
入れる向きは、下の図のように棒状が膣の入り口側で、皿状が膣の奥側に来るようにいれます。
このタイプのリングは、子宮がメインに落ちてきてしまう方に向いているようです。
個人的な印象
このタイプを使用している方に、自分で出し入れの指導をしましたが、指で引っかける所がないので出し入れが少し難しいようでした。
また、皿状の面が膣の奥にピッタリはまってしまうと引き出すのが大変なようでした。
また、膣の外側が棒状になるため、座ると棒状が股間にあたり不快に感じる方もいました。
そういう場合は、棒状部分が短いタイプを使うといいでしょう。
キューブ型
このタイプは、完全に膣から臓器が出てしまう方に向いているようです。
また、他のいろいろなタイプを試してもどれも合わないという方が試してみるようです。
新しいタイプのため、私はこのタイプの出し入れ指導をしたことがありません。
キタザトリング
※画像は2013 GOOD DESIGN AWARDからお借りしました。
このキタザトリングペッサリーは医療系のナイロンで作られています。
そのため、素材は少し硬くシリコーンより柔軟性がなくなります。
このリングペッサリーも自費となり2個入りで3,600円です。
他のタイプのリングペッサリーより少し複雑な形をしています。これは、M字の部分で膀胱を支える仕組みになっているからです。
入れる時は、ドーナツ型のタイプのように、横にして入れ、膣の中で回転させ正しい位置にします。
下左の図は正面に見た時の位置です。
個人的な印象
こちらのリングペッサリーは、M字部分が膀胱を支えるようになっていますので向きを考えて入れなくてはいけません。
このタイプの出し入れを指導しましたが、向きを考えて入れ、さらに膣の中で回転をさせるため、自分でやるのは少し難しいようでした。
また、きちんと入れられたとしても活動をしているうちに、リングペッサリーが膣の中で動いてしまい、結局ズレてしまう方が多いようです。
そして、素材が硬いため出し入れする時に少し膣粘膜にストレスがかかってしまいます。
このタイプを使っていた方で、向きに関係なく入れているだけで下がってくる違和感がとれると仰っている方もいました。
尿失禁防止用ペッサリー(オーダーメイドペッサリー)
※画像は(株)アヘッドラボラトリーズさんからお借りしました。 URL:http://www.ahead-lab.com/first/gynecology/
このタイプのリングペッサリーはイントロールとも言い、現在扱っている病院はとても少ないです。
こちらは、1つずつがオーダーメイドとなっており、自費購入で2個入りで70,000円弱となります。
ただ、値段は高いですが定期的に消毒をすれば、劣化するまで使うことができます。
何年か前に、欧米から日本に入ってきたましたが、日本では広まらずに業者が撤退してしまいました。
しかし、医師がサイズを測り、フルオーダーメイドでシリコーン業者に依頼すれば、このタイプのリングペッサリーを作成してくれます。
膣に入れる時は、2つの角のような突起部分を手前側(膣の出口側)の向きで入れ、この部分で膀胱を支えてあげます。
膀胱を支えることで、尿道もしっかりとなり尿漏れを防ぐことができます。
また、膀胱が下り尿が出にくく残尿感が強い人には、このタイプを使うことで膀胱が支えられるので尿の出が良くなります。
個人的な印象
シリコーン製なのでとても柔らかく膣への負担は少ないようです。
角の部分も大きく作られているので、入れる時に向きだけ注意すれば、自分での出し入れも難しくありません。
こちらのタイプでも出し入れの指導をしたことがありますが、みなさんきちんとできていました。
リングペッサリーはネット通販でも買えますが…
病院で一般的に使用されているのは、ウォーレスリングペッサリーです。
しかし、ウォーレスリングペッサリーで合わない方もいらっしゃいますので、いろいろなタイプを試してみて自分に合ったものを探すことが大切です。
その時、
ネットショッピングでも購入することができますが、初めて使用する場合は病院できちんと使い方の説明を受けた方が良いでしょう。
そして、リングペッサリーの管理は、自分で毎日出し入れするのが基本です。その正しい管理方法も病院できちんと説明を受けましょう。
まとめ
膣から落ちてきている状態で手術ができず、そのままでいるのは生活の質を確実に下げてしまいます。
手術ができなくても、膣から落ちてくる違和感をとる方法は沢山あります。
リングペッサリーには沢山の種類があります。1回試して合わないからといって諦めないようにしましょう。
いろいろと試してみたいという方は、病院を受診する前に、その病院にどんなリングペッサリーを取り扱っているか電話で確認するのもいいでしょう。
個人的な印象は、あくまでも私個人の印象です。リングペッサリーは試してみないとその人に合っているかどうか本当に分かりません。
諦めずにいろいろなタイプのリングペッサリーを試し自分に合ったものを選ぶことが大切です。