こんにちは。看護師歴28年、 骨盤底筋トレーニング【YUI】の 北條裕紀恵です
尿漏れには、いくつかの種類があることをご存知でしょうか。
そして、女性なら誰しも尿漏れになるリスクを持っています。
なぜなら、女性の尿道は男性より短く、また出産や年齢によるホルモン変化などは尿漏れになるリスクを高めるからなのです。
女性にとって尿漏れは誰しもがリスクがあります。そのため、先ずは尿漏れの正しい知識を持っておきましょう。
この記事では、尿漏れの5つのタイプとそれらの具体的な症状について知ることができます。
腹圧性尿失禁(腹圧で漏れるタイプ)
くしゃみやジャンプなどでお腹に圧がかかって漏れるタイプです。
腹圧性尿失禁を、Stress(圧力)、Urinary(尿)、Incontinence(失禁)の頭文字をとってSUIとも言われます。
このタイプの尿漏れは、お腹に圧がかかると膀胱が後ろに下がり尿道(尿の通り道)が支えられなくなりグラグラするために起こります。
どのようなかんじなのか、イラストで見てみましょう。
また、膀胱が下がると膀胱の形がロート状に変形し出口が広がり尿漏れしやすい構造になってしまいます。
腹圧性尿失禁の原因
主な原因は、体の底にある骨盤底筋という筋肉の衰えです。
女性の骨盤底筋が衰える主な原因は下記になります。
- 妊娠・出産(経膣分娩)
- 吸引・鉗子分娩
- ひどい便秘・喘息
- 息張るスポーツの継続
- 常に重いものを持つ
- 閉経など
また、息んでお腹に強い圧をかけて排尿する行為も腹圧性尿失禁のリスクを高めます。
女性が息んで排尿をするクセがついてしまうのは出産後です。
なぜなら、膣からの出産でその周辺の組織が傷つき浮腫んでいると尿を出しにくくなります。そのため産後の女性は無意識に息んでしまうんです。
そして、その息み排尿がいつのまにクセになってしまってる場合があります。このような息んでの排尿は腹圧性尿失禁のリスクを高めてしまいます。
腹圧性尿失禁の治療には、薬と手術があります。
切迫性尿失禁(我慢できずに漏れるタイプ)
トイレに行きたいと思うと我慢できずに漏れてしまうのがこのタイプの尿漏れです。
この尿漏れは、主に過活動膀胱の方に見られる症状です。
切迫性尿失禁を英語にすると、Urgency(切迫)、Urinary(尿)、Incontinence(失禁)となり、頭文字をとってUUIとも言われます。
本来なら、トイレに行きたいと思っても何かに集中していれば忘れてしまいある程度我慢できます。
また、そんなに尿が溜まっていないはずなのに、下記のような状況で急にトイレに行きたくなったりもします。
- 水の音を聞くと
- 家に帰ってくると玄関で
- トイレがないと心配で
常にトイレのことが心配で頻尿になり日常生活に支障がでたり下記の様な制限をしたりします。
- バス旅行に行けない
- 家族と長距離の車移動が心配
- 観劇の時はいつも端の席をキープ
- 長い会議が心配
こんなふうに制限をしているとトイレのために行動範囲が少しずつ狭くなってしまいます。
切迫性尿失禁の原因
トイレが我慢できない原因にはいろいろあり
- 神経系のトラブル
- 精神的なもの
- 骨盤底筋の筋力低下
- 原因不明
- 膀胱炎
上記のうち、膀胱炎以外の原因は判別が難しいため問診表や排尿日誌、専門的な検査などをして判別する必要があります。
そのため、我慢できないタイプの尿漏れがある人は泌尿器科を受診しましょう。
切迫性尿失禁には、膀胱訓練と薬が有効です。その他に外科的な治療もあります。
混合性尿失禁
この尿漏れは、腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の両方があるタイプの尿漏れです。
この混合性尿失禁は、腹圧性と切迫性の混合なの、Mix(混合)、Urinary(尿)、Incontinence(失禁)の頭文字をとってMUIと言われています。
このタイプの尿漏れは、どちらの尿漏れ症状が強く出ているかで治療を優先していきます。
機能性尿失禁
この尿漏れは、排尿することには問題がないのに、体の機能が何らかの理由で制限されるために起こる尿漏れのことを言います。
例えば下記のような場合です。
- 脳梗塞などでマヒがある
- パーキンソンで体が思うように動かない
- 認知症でトイレの場所が分からない
溢流性尿失禁
この尿漏れは、膀胱に溜まった尿をスッキリと出せず溢れて出てきてしまう尿漏れタイプです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
尿漏れと言ってもタイプが違うことがお分かりいただけたでしょうか。
尿漏れのタイプには大きく別けて5つあります。
- くしゃみやジャンプなどで漏れる腹圧性尿失禁
- 我慢できない切迫性尿失禁
- 上記の2つが混ざる混合性尿失禁
- 体が不自由で間に合わない機能性尿失禁
- 膀胱に残って溢れ出る溢流性尿失禁
そして、その尿漏れのタイプの違いによって治療方法も異なってきます。
そのため、尿漏れで病院に行った場合、自分はどんな時に漏れてしまうのかきちんと説明することが大切です。
尿漏れは命に関わる病気ではありませんが、活動が制限され生活の質は下がります。
しかし、尿漏れは女性にとって言い辛い症状であるために我慢しているの女性がとても多いと言われています。
尿漏れで悩んでいたら一度泌尿器科を受診しましょう。
恥ずかしいという気持ちが強いなら、女性医師や女性専用の病院を探して受診してくださいね。