こんにちは。看護師歴28年、 骨盤底筋トレーニング【YUI】の 北條裕紀恵です
体幹の4つのインナーマッスルをインナーユニットと言います。
インナーユニットの1つである骨盤底筋は、胴体の一番底にあり内臓を支えている筋肉です。
この骨盤底筋が衰えると膣めがけて膀胱や子宮、直腸が落ちてきます。
このような膣から臓器が落ちてきてしまう病気を骨盤臓器脱と言い女性特有の病気です。
女性の骨盤底筋が弱くなると起こる病気、それは骨盤臓器脱(子宮脱)
骨盤臓器脱の治療には、手術をせずに膣の中に器具を入れて臓器が落ちない様にする保存療法があります。
その保存療法に使う器具を、リングぺッサリー、またはリングと言います。
手術をせずにリングぺッサリーを使う方は、「膣の違和感はあるが手術するほどではな」、または何らかの理由で「手術ができない」という方です。
リングペッサリーを膣の中に入れるとストッパー的な役割をしてくれるため臓器が落ちなくなります。
リングペッサリーには、いろいろな形があり、それを洋服の様にフィッティングして自分に合ったものを選ぶことができます。
リングペッサリーの種類は以下の物があります。
- 黒い硬いリングペッサリー(昔のタイプ)
- 白い柔らかいリングペッサリー(保険適応)
- Milexリングペッサリー(形のバラエティーが豊富で自費購入)
- キタザトリング
- イントロール
ここでは、リングペッサリーのそれぞれの種類と特徴をご紹介します。
リングペッサリーを膣の中に入れると
リングペッサリーを膣の中に入れると下の図のようになります。(白い輪がリングペッサリー)
リングペッサリーを膣の中に入れると奥で自然と広がりちょうどいい所で安定してくれます。
この時に、中途半端に入れてしまうと違和感が強くなるかすぐに出てきてしまいます。
リングペッサリーが膣の奥で安定してあることでストッパーとなり臓器が落ちないようにしてくれます。
リングペッサリーを選ぶときは、フィッティングをし自分に合ったサイズや形を選んでいきます。
初めて選ぶ時は、フィッテイングは入念に行い自分に合った形とサイズを選ぶことが大切です。
リングペッサリーのサイズや形が合わない場合は、フィッティングの段階で違和感が強く膣から出てきてしまします。
リングペッサリーの種類
リングペッサリーは、骨盤臓器脱の治療で昔から使われていたものです。
以前は種類は多くありませんでした。
しかし、最近では骨盤臓器脱という病気が一般的になり、需要も以前より高まってきたため種類も増えてきました。
リングペッサリーを選ぶ方は、何らかの理由で手術ができない方々です。
何らかの理由とは
- 元々大きな病気があり手術ができない
- 手術するほどではないが日常生活に支障がある
- 介護中の家族がいて術後安静が保てない
- 体力仕事や立ち仕事で術後安静が保てない
- 年齢が若い、または出産を考えている
などの理由で手術ではなくリングペッサリーを選ぶ方がほとんどです。
1. 黒くて硬いリングペッサリー
黒くて硬いリングペッサリーはとても古いタイプです。
現在ではほとんどみられませんが、稀に使っている病院があります。
硬いリングペッサリーは力を加えても形が変わらないため出し入れするのがとても危険です。
そして、硬いために膣の粘膜を傷つけやすくなっています。
リングペッサリーの管理は、自己管理で毎日出し入れをするのが基本ですが、このタイプのリングペッサリーでは自己管理は困難です。
個人的な印象
このリングはとても硬いため粘膜が傷つきやすく病院での出し入れもとても困難です。
リングぺッサリーは入れる前に確認をし、もしこの黒く硬いものなら使用せず他の病院を探しましょう。
2. ウォーレスリングペッサリー
こちらのリングペッサリーをウォーレスリングペッサリーと言い一般的に使用されており保険適応になります。
現在リングペッサリーを扱っている病院のほとんどがこちらのリングペッサリーです。
料金は、3,000円前後となり3割負担で約1,000円くらいです。
個人的な印象
このタイプはとても柔らかくてサイズも豊富です。
写真のように手で力を入れるだけで柔らかく曲がるため、ストレスなく自分で出し入れすることができます。
素材が柔らかいため膣の粘膜にも優しく、旅行などで短期間なら入れたままにしていても大丈夫です。
3. Milexペッサリー
こちらのリングペッサリーは、それぞれに異なる形のものが6種類あります。
素材は、医療用シリコーンで作られておりとても柔らく膣粘膜への負担も少なくなります。
基本的には、先ほど紹介したウォーレスリングが合わない場合こちらのタイプを試す方が多いです。
しかし、こちらのMilexペッサリーは保険適応になっていないため自費購入となります。
価格帯は、4,000円~9,000円で1度購入すれば約半年間は使用できます。
ここで紹介する写真は、フィッティング用のリングペッサリーのため黄色ですが実物の色は肌色になります。
①ウォーレスリングに似たタイプ
このタイプは、形はウォーレスリングペッサリーとほぼ一緒ですが異なるところは半分に折れることです。
このタイプを選ぶ方は、膣の入り口が狭くリングペッサリーが入れにくい方に適しています。
膣に入れる時に半分に折り畳み小さくすれば膣の中に入れやすくなります。
膣の中に入れば膣の中で自然に広がりフィットしてくれます。
②ノブ付きタイプ
このタイプのリングは、丸印の部分がボコっとノブの様になっています。
このノブ部分を尿道の下側に当たるように入れると尿道が支えられます。
くしゃみなどで尿漏れがある人は尿道を支えてあげることで尿漏れを防止することができます。
個人的な印象
ボコっとしているノブの部分がきちんと尿道を支えられれば尿漏れに効果がありますが、自分で出し入れをしている方は上手な位置に当てられない方が多い印象です。
または、上手く入れられても少しずつノブ部分がズレてしまいあまり効果を感じられない方がいます。
それでも、このタイプで尿漏れがよくなっている方もいらっしゃいますので試す価値はあるでしょう。
③穴無しタイプ(サポートリング)
ウォーレスリングペッサリーのような輪のタイプを入れると子宮が輪の中にスッポリとはまってしまう方がいらっしゃいます。
子宮が輪にはまってしまうとリングペッサリーが取りにくくなってしまいます。
このタイプは、輪になっていなため子宮が落ちきても輪にはまことがなく安心して使えます。
個人的な印象
ほとんどウォーレスリングと変わりなく扱い方は簡単な印象です。
自分での出し入れも、中央の小さい穴に糸を通して付けておけば取り出す時も簡単に取り出せます。
④ドーナツタイプ
このタイプも先程の穴なしサポートリングと同じような使い方になります。
中央の穴が小さいため子宮が込まなく、またリングに厚みがあるためしっかりと支えられます。
個人的な印象
輪に厚みがあるため出し入れがやや難しくなります。
その場合は、下の図のようにして入れる時は輪かを正面ではなく縦にして幅を細くしてあげます。
また、取り出す時は指に引っかかりにくいため糸をつておけば糸を引いて取り出しやすくなります。
大きい感じがしますが入れていても違和感はないようです。
⑤ゲルホーン
このタイプのリングはゲルホーンと言われています。この棒状の部分が長いタイプと短いタイプがあります。
このタイプは欧米では多く使われているようです。
入れる向きは、下の図のように棒状が膣の入り口側で皿状が膣の奥側になります。
個人的な印象
このタイプを使用している方に、自分で出し入れの指導をしましたが、指で引っかける所がないので出す時が少し難しいようでした。
また、皿状の面が膣の奥にピッタリはまってしまうと引き出すのが大変なようでした。
そして、膣の外側が棒状になるため座ると棒状が股間にあたり不快に感じる方もいました。
そういう場合は、棒状部分が短いタイプを使うといいでしょう。
⑥キューブ型
このタイプは、完全に膣から臓器が出てしまう方に向いているようです。
キューブが1つのタイプと、2つ付いているダブルタイプがあります。
また、他のいろいろなタイプを試してもどれも合わないという方が試してみるようです。
新しいタイプのため、私はこのタイプの出し入れ指導をしたことがありません。
キタザトリング
※画像は2013 GOOD DESIGN AWARDからお借りしました。
このキタザトリングペッサリーは医療系のナイロンで作られています。
そのため、素材は少し硬くシリコーンより柔軟性がなくなります。
このリングペッサリーも自費となり2個入りで3,600円です。
他のタイプのリングペッサリーより少し複雑な形をしています。これは、M字の部分で膀胱を支える仕組みになっているからです。
入れる時は、ドーナツ型のタイプのように縦にして入れ膣の中で回転させ正しい位置にします。
下左の図は正面に見た時の位置です。
個人的な印象
こちらのリングペッサリーは、M字部分が膀胱を支えるようになっていますので向きを考えて入れなくてはいけません。
このタイプの出し入れを指導しましたが、向きを考えて入れ、さらに膣の中で回転をさせるため自分でやるのは少し難しいようでした。
また、きちんと入れられたとしても活動をしているうちにリングペッサリーが膣の中で動いてしまい結局ズレてしまう方が多かった印象です。
そして、素材が硬いため出し入れする時に少し膣粘膜にストレスがかかってしまいます。
このタイプを使っていた方で、向きに関係なく入れているだけで下がってくる違和感がとれると仰っている方もいました。
尿失禁防止用ペッサリー(オーダーメイドペッサリー)
※画像は(株)アヘッドラボラトリーズさんからお借りしました。 URL:http://www.ahead-lab.com/first/gynecology/
このタイプのリングペッサリーはイントロールとも言い、現在扱っている病院はとても少ないです。
こちらは、1つずつがオーダーメイドとなっており自費購入で2個入りで70,000円弱となります。
ただ、値段は高いですが定期的に消毒をすれば劣化するまで使うことができます。
何年か前に、欧米から日本に入ってきたましたが日本では広まらずに業者が撤退してしまいました。
しかし、医師がサイズを測りフルオーダーメイドでシリコーン業者に依頼すれば作成してくれます。
膣に入れる時は、2つの角のような突起部分を手前側(膣の出口側)の向きで入れこの部分で膀胱を支えてあげます。
膀胱を支えることで、尿道もしっかりとなり尿漏れを防ぐことができます。
また、膀胱が下り尿が出にくく残尿感が強い人にはこのタイプを使うことで膀胱が支えられるので尿の出が良くなります。
個人的な印象
シリコーン製なのでとても柔らかく膣への負担は少ないようです。
角の部分も大きく作られているので、入れる時に向きだけ注意すれば自分での出し入れも難しくありません。
こちらのタイプでも出し入れの指導をしたことがありますが、みなさんきちんとできていました。
ネット検索でいろいろ出てきますが…
病院で一般的に使用されているのはウォーレスリングペッサリーです。
しかし、ウォーレスリングペッサリーで合わない方もいらっしゃいますので、いろいろなタイプを試してみて自分に合ったものを探すことが大切です。
リングぺッサリーで大切なことは自分に合ったものを選ぶことと自分で出し入れすることです。
病院で自分に合ったものを選び自己管理についてきちんと説明を受けましょう。
まとめ
膣から臓器が落ちてきている状態のままでは生活の質を確実に下げてしまいます。
何らかの理由で手術ができない場合はリングぺッサリーで対応することができます。
リングペッサリーには沢山の種類があります。1回試して合わないからといって諦めないようにしましょう。
いろいろと試してみたいという方は、病院を受診する前にその病院にどんなリングペッサリーを取り扱っているか電話で確認するのもいいでしょう。
個人的な印象は、あくまでも私個人の印象です。リングペッサリーは試してみないとその人に合っているかどうか分かりません。
諦めずにいろいろなタイプのリングペッサリーを試し自分に合ったものを選びましょう。
子宮脱は、骨盤底筋トレーニングで予防することができます。膣から出てきてからでは遅いのです。
子宮脱は女性なら全ての人にリスクがあります。そのため今のうちから正しい骨盤底筋トレーニングで鍛えましょう。
お申し込み
[wp-svg-icons icon=”bullhorn” wrap=”i”] 完全予約制
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