閉経後の女性の不快な症状の1つ陰部の痛みやかゆみについて

こんにちは。看護師歴24年、 骨盤底筋 トレーニング【YUI】の 北條裕紀恵 です。
閉経後の外陰部の不快感やヒリヒリ感、痒みなどを総称してGSMというのをご存知ですか。
閉経後に心配するのは更年期症状よね。
Aさん
そう!その更年期症状の1つに外陰部の不快感があるのよ。私は女性泌尿器科専門だから、今日は更年期症状の外陰部の痛みやかゆみについて書いてみようと思うわ。
ゆきえ
もくじ
女性の外陰部の痛みや痒みはどうして起こるのか?

このエストロゲンが減少することにより、女性は全身に様々な症状が起こるりますが、その症状は個人によって大きく異なります。
どうしてエストロゲンが減ると外陰部に影響があるの?
Aさん
女性ホルモンが無くなると膣周辺の血流や膣内の分泌物が減るの。そうなると、若い頃に比べるとオリモノの量は少なくなり膣周辺は乾燥してしまうの。
ゆきえ
確かにオリモノは若い頃より減っているわ。
Aさん
分泌物が減って乾燥すると膣周辺の粘膜の皮膚は薄くなってしまうの。さらに膣内の自浄作用が低下し細菌感染しやすくなるから、ヒリヒリする痛みや痒みを感じやすくなってしまうのよ。
ゆきえ
更年期症状の種類

更年期症状で良く聞くのがホットフラッシュや動悸・めまいなどではないでしょうか。
しかし、女性ホルモンは様々な器官に関与していますのでその症状は多岐にわたります。
更年期症状はいろいろあるみたいよね、私の友達は汗が凄かったと言ってたわ。
Aさん
そうね、良く聞くのがホットフラッシュよね。でも鬱っぽくなる人もいて本当にいろいろな症状があるの。
ゆきえ
精神神経症系の症状
頭痛、めまい、倦怠感、イライラ、不安、落ち込み、抑うつ、意欲の低下、集中力の低下、不眠など
消化器系
食欲不振、吐き気、下痢、便秘など
血管運動神経系
のぼせ、ほてり、発汗、手足の冷え、動悸、息切れ、脂質異常、むくみなど
運動・関節系
手のこわばり、腰痛、肩こり、関節痛、骨粗鬆症など
皮膚・分泌系
皮膚や粘膜の乾燥、ドライマウス、ドライアイなど
泌尿器・生殖器系
月経異常、頻尿、尿失禁、膣萎縮、性交痛、性器下垂感、おりもの、外陰部不快感(ヒリヒリ、かゆみ)など
では、どうすればいいのか?
更年期症状の治療法としてHRTというホルモン補充療法や漢方などが一般的です。
しかし、外陰部のかゆみやヒリヒリ感には局所的な対応が必要になります。
局所的って何かを塗ったりするの?
Aさん
そういう薬もあるけど日々のケアも大切になってくるのよ。
ゆきえ
石鹸で洗わない

え~!そうなの!
Aさん
体の皮脂の汚れもお湯で洗い流せば十分と言われてるけど、外陰部も同じ。膣は本来強い酸性を保って自浄作用しているの、だけど石鹸で洗い過ぎるとその環境が壊れてかえって感染しやすくしてしまうのよ。あと乾燥も強くなってしまうわね。
ゆきえ
そう言われても汚れが気になるし石鹸で洗いたいわ。
Aさん
どうしても洗いたいなら石鹸で簡単にさっと洗い流すか外陰部専用の石鹸を使うといいわよ。
ゆきえ
膣錠や軟膏

膣錠や軟膏は局所的なHRT(ホルモン補充療法)と考えていいでしょう。
直接ホルモンを与えるってこと?
Aさん
そうなの。HRTの飲み薬や張り薬は全身に回るけど、膣錠や軟膏はホルモンの量も少ないし全身に回らないでそこだけに効いてくれるのよ。
ゆきえ
それなら安心ね。
Aさん
でもね、ホルモンの量は少なくても時々胸が張って痛くなったり不正出血などの副作用が出る人がいるから使用する時は注意が必要よ。
ゆきえ
薬には何でも副作用があると思った方が良いってことね。
Aさん
そうゆうこと、100%の安全はないのよ。後はね、子宮体がんや乳がんの経験がある人は使う時はがんを治療している主治医と相談する必要があるから自己判断で使わないようにしてね。
ゆきえ
服装に注意する

なるほどね。私たちおばさんは、ガードルとかきつめのを履いているからね。
Aさん
そうでしょ!ガードルとかきつめのジーパンは要注意よ!やっぱり外陰部が締め付けられるような窮屈ば服装はやめた方がいいわね。あとは、下着の種類も化繊よりは綿100%の方が肌に優しいわよ。
ゆきえ
骨盤底筋トレーニングを積極的にする!
あまり知られていませんが、更年期による外陰部のヒリヒリした痛みには骨盤底筋トレーニングが有効です!

え~!知らなかったわ~!どうして効くの?
Aさん
それはね、骨盤底筋は図のように恥骨と尾骨を繋いだハンモック状になっていてその中に尿道・膣・肛門があるわよね。この骨盤底筋を積極的に動かすことでこれらの組織の血液循環量が増加するの。そうすると血行が良くなるから分泌物もある程度復活して外陰部のヒリヒリ感が改善されるのよ。
ゆきえ
閉経関連性器尿路症候群
閉経関連性器尿路症候群と言い、略してGMSと言います。
Genitourinary(生殖器) Syndrome(症候群) of Menopause(更年期・閉経)
GMSを検索すると、携帯電話に使用される無線通信方法の1つと出てくるのでその知名度は低いです。
しかし、最近は、NHKの番組「あさイチ」で紹介され更年期症状と共に少しずつ知られるようになりました。
GMSとは
この記事で紹介している外陰部の痒みやヒリヒリとした痛みの症状はGMSとなります。
つまりGMSは、閉経後に起こる泌尿器・生殖器系のトラブルの総称です。
このGMSを悪化させる原因に尿漏れがあります。
更年期症状に尿漏れってあったわよね。
Aさん
そうなの。だからね、外陰部にかゆみやヒリヒリ感があるところに尿漏れまでもが出てくると、尿で皮膚が汚染されるからかゆみなどの症状を悪化させてしまうのよ。
ゆきえ
なるほどね。でも、外陰部についても尿漏れについてもどちらも言いにくい症状ね。
Aさん
そうなのよ。外陰部のかゆみって言ったら誰にも言いたくないわよね。そして、尿漏れも知られたくないわよね。でも、放置していると症状はドンドン悪化してしまうのよ。
ゆきえ
どこに行けばいいのか?

外陰部のかゆみやヒリヒリ感であれば泌尿器でも婦人科でもどちらでも大丈夫ですよ。
症状があったら恥ずかしがらないで早めに受診することが大切ね。
Aさん
本当にそうなのよ。放置しても悪化させるだけだから早めに受診をして欲しいわ。尿漏れもがあるなら泌尿器科を勧めるけど、泌尿器科に抵抗があるなら婦人科でも大丈夫!だから必ず早めに受診してね。
ゆきえ
自分でできる対応法
これは、NHK番組「あさイチ」で更年期症状が特集された際に、三井記念病院の産婦人科の中田真木先生が紹介されていました。
私は、中田真木先が学会で研究発表をし、また積極的に質問されているお姿を毎回拝見しております。
女性骨盤底では活発に活動されている医師の一人です。
詳細はこちら
石鹸で強く洗わない他にも何かあるの?
Aさん
そうなの。それはね、排尿をするときの姿勢と拭き方ね。女性は、排尿する時は便座に座って足を閉じがちよね?
ゆきえ
そうね、股開いてって感じじゃないわね。
Aさん
でしょ。股を閉じて排尿すると尿が外陰部について溜まってしまうの。だから、股を開いて排尿するの。そして、拭くときは後ろから前に擦って拭くのはNGなの。
ゆきえ
え!?私は小さい頃からバイ菌が入らないように前から後ろに拭きなさいって教えられたわよ。
Aさん
そうよね、女子だったらみんなそういう風に教わっているわよね。でもね、ヒリヒリなどの皮膚症状がある場合は、摩擦を起こすことで悪化させてしまうの。そして、外陰部に溜まった尿を拭くためにはトイレットペーパーを押し当てて、前から後ろに擦らないで拭くのがポイントって中田先生が言ってたわ。
ゆきえ
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、女性にとってとても不快な外陰部のかゆみやヒリヒリ感について書いてみました。
私は、骨盤底筋トレーニングを指導する時に、骨盤底筋トレーニングの効能として必ずこの閉経後の陰部不快感について説明していました。
この説明を聞いた殆どの患者さまが、そんな症状があるのかと驚いていらっしゃいました。閉経にならなくても女性なら一度は外陰部の不快感を味わったことがあるのではないでしょうか。
その不快感が閉経後に、常に感じるとしたら辛いということは想像にかなくないと思います。
もし、この記事を読んで心当たりがあるのだとしたら躊躇せずに受診してくださいね。
このような症状で悩まれている方は実は少なくありません。
恥ずかしいことではありませんからね。
折角なので、最後に更年期症状の治療時に用いられるSMIという更年期症状の点数を紹介します。
更年期症状かもと心当たりのある方は是非やってみてくださいね。
【簡略更年期指数 SMI】
症状 | 強 | 中 | 弱 | 無 | 点数 |
①顔がほてる | 10 | 6 | 3 | 0 | |
②汗をかきやすい | 10 | 6 | 3 | 0 | |
③腰や手足が冷えやすい | 14 | 9 | 5 | 0 | |
④息切れ・動悸がする | 12 | 8 | 4 | 0 | |
⑤寝つきが悪い・また眠りが浅い | 14 | 9 | 5 | 0 | |
⑥怒りやすく、すぐイライラする | 12 | 8 | 4 | 0 | |
⑦クヨクヨしたり、憂うつになることがある | 7 | 5 | 3 | 0 | |
⑧頭痛・めまい・吐き気がよくある | 7 | 5 | 3 | 0 | |
⑨疲れやすい | 7 | 4 | 2 | 0 | |
⑩肩こり・腰痛・手足の痛みがある | 7 | 5 | 3 | 0 | |
合計点 |
★SMIの評価
0~25点 | 上手に更年期を過ごしています。これまでの生活を続けましょう。 |
26~50点 | 食事・運動に気を付けて注意いしていきましょう。 |
51~65点 | 更年期・閉経外来を受診しましょう |
66~80点 | 長期間にわたる計画的な治療が必要 |
81~100点 | 各科の精密検査に基づいた長期の計画的な治療が必要 |
更年期障害について分かりやすい記事
※大塚製薬 更年期も元気にすごそう
※更年期の外陰部症状について 毎日が発見ネット
※ホルモン補充療法の実際 日本産婦人科医会